11月10日(木)の深夜、146円台だった為替レートは2時間ほどで141円台まで円高に振れ、その後もさらに円高方向に振れて、11日(金)の深夜には138円台まで円高となった。
つまり丸一日で8円も円高に動いたことになる。
そして現在も140円台半ばで推移している。
(写真は外為どっとコムのホームページより)

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10月27日に「円安の潮目が変わったか?」というブログを書いた。
この時は、「アメリカの景気や住宅市場関連の指標が悪化したことから、FRBが利上げのペースを緩めるのではないか、といった観測がある」と解説した。
一方で、今回の大幅な動きの背景には、「10月の米CPI(消費者物価指数)の上昇率が7.7%と市場予想(8%程度)を下回ったこと」がその原因らしい。
いずれの理由も、
「米国の景気が悪化している指標」
→「物価上昇ペースも鈍化する予想」
→「FRBの利上げペースも緩やかになるだろう」
→「日米金利差もこれまでの予想ほどは広がらないのではないか」
という連想が背景にある。
換言すれば、現在の動きは、投機筋がリスクをとって円安方向に行き過ぎたウェイトをかけていた状況から、正常化する方向に巻き直しが入っていると思われる。

政府・日銀は9月と10月に145円超と150円超の水準で何度かドル売り・円買い介入を行い、急激な円安の動きを牽制してきた。
今回の円安是正幅は、9月、10月の介入の時よりも大きい。
しかも今回については介入をしていないという観測が多い(この点は不確実)。
仮に、政府・日銀の介入がない中でこれだけ円高方向に是正されたのだとすれば、市場参加者のマインドが大きく変わって来ていることを示しているのではないか。

しばらくは一進一退だろうが、これまでのように一方向に急激に円安に動いていく局面は、これからは起こりにくいのではないか。
(上記の内容は私個人の考えであり、政府や日銀の見解を示すものではありません)