衆議院議員 神田潤一のブログ

衆議院議員1期目(青森2区選出、自民党公認)の神田潤一です。 「ふるさとの思いを受け継ぎ、新時代をひらき、つくる」をモットーに活動する日々の思いを綴ります。

    養殖

    昨日、新井田川のサケ・マス養殖場を見学し、問題の深刻さを認識した。
    新井田川を含めた近隣の河川を遡上するサケが急激に減少しているが、その背景には、近年進められた定置網の設置・増設があるという。

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    元々新井田川は、サケが遡上する豊かな川で、養殖場としても2005年頃には10万尾以上を捕獲し、2千6百万粒もの卵を採取して、他の養殖場にも卵を提供していた。
    それが2012年に近海に定置網が設置されたことによって捕獲数が5万尾を下回るようになり、2020年に定置網が増設されてからは5000尾以下に落ち込んだ。
    現在は、他の養殖場への卵の提供は行なっておらず、むしろ他の養殖場から不足する卵を移入して賄うようになっているという。

    捕獲数の減少とともに、放流数も減少し、一時安定的に1千5百万尾以上を放流していたものが、近年では4百万尾、2百万尾と激減している。
    サケは放流した稚魚が4年後に遡上してくると言われる。
    放流数が減るということは、4年後に遡上してくるサケも減少するということになる。
    このままでは、新井田川での養殖事業が成り立たないばかりか、定置網に入るサケも数年後には激減することになるだろう。
    こうした状況の中で、
    ・定置網漁の開始時期を2週間〜1ヶ月遅らせる
    ・漁の開始後も、月に1週間程度は網を開放する
    などによって、新井田川に遡上するサケを増やすことが求められるという。 

    もっとも、新井田川など内水面の漁協と、定置網を仕掛ける海水面の漁協とは、これまで全く連携の動きがないという。
    北海道や岩手県は、内水面と海水面は通常一つの漁協によってカバーされているという。
    それが青森県では、ほとんどの漁協が内水面と海水面とに分かれていることが原因とのこと。
    監督すべき青森県庁も、内水面・海水面の間を繋ぐような動きはしていない。

    一日も早く両者の対話を始める必要がある。
    そして、サケが遡上する川を復活させるために、内水面・海水面が一致結束して取り組みを進める必要がある。  

    今日は選挙区を出て津軽の深浦町へ。
    車で片道3時間半の長旅だ(新幹線なら東京まで着いてしまう笑)。

    10時、深浦町立追良瀬さけます増殖センターへ。
    福沢組合長案内で視察。
    今年は豪雨で河口や川の流れが変わり、遡上が少なめ。
    施設が老朽化し、担い手も高齢化するなど、町営とはいえ厳しい経営。
    それでも今年は、青森県が3000万円を拠出して豊漁の北海道から卵を移入する予定(素晴らしい!)。
    これをしっかり孵して放流し、4年後に期待したい、とのこと。 

    11時、オカムラ食品のグループ会社・日本サーモンファームが経営する大峰川のニジマス中間養殖場へ。
    鈴木社長の案内で視察。
    大峰川は、小さい河川ながら、白神山地からの綺麗な水が年間通して豊富に入手できる素晴らしい環境。
    ここで卵を孵し、500グラムまで育てて、深浦や今別の港のイケスに移して3キロ以上になったら「青森サーモン」として出荷。
    今年は創業から5年目ながら1600トンを出荷。
    これは、青森県のさけますの漁獲量1000トンをすでに超えている、とのこと。
    デンマークの養殖ノウハウを日本に合うようにアレンジして、既に国内最大級の養殖場となっている。
    今後は1万トンを目指してさらに養殖場を増やしていく方針。

    12時半から、深浦町役場に移動し、吉田豊町長、工藤兼光県議、マグロの資源管理に取り組むホリエイの堀内社長なども加わって意見交換。

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    実は、世界の漁獲量は順調に伸びているが、増えているのは「獲る漁業」ではなく「育てる漁業」の部分。
    一方で、日本では「育てる漁業」はほとんど伸びず、「獲る漁業」はどんどん減少していて、世界の潮流から取り残されている。
    そうした中で、この深浦町では、獲る漁業と育てる漁業の両立によって、持続可能な漁業を確立する取り組みが進んでいる。
    日本サーモンファームでは、従業員が26人(平均年齢33歳)に増え、地元の雇用を産んでいるほか、従業員同士が結婚し、子供も今年は4人も生まれたとのこと。
    「深浦モデル」 は、漁業だけでなく、地域の課題を解決する取り組みになりつつある。
     
    鈴木社長の「ここには希望しかない!」という言葉が心に残った。 
    往復7時間かけて来た甲斐があった。 

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