今日午後の衆議院本会議で、野田佳彦元首相による安倍晋三元首相に対する追悼演説があった。
野田元首相はもちろん、民主党政権の最後の総理大臣であり、安倍元首相の前任者。
現在は立憲民主党に所属していて、安倍政権や自民党政権と激しく対立してきたし、今もその立場にある。
それでも今日の追悼演説は、「政敵」としての安倍元首相の人柄を深く洞察し、その孤独と優しさに肉薄した、素晴らしい演説だったと思う。
(写真は日経電子版より)

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私は、野田元首相と直接話したことはないが、衆議院の財務金融委員会が同じで、何度かその質問を聞いている。
野党にありがちな出口のない政権批判ではなく、もちろん政権におもねるわけでもない。
自分が総理大臣なら、自分が財務大臣なら、という立場で鋭い提案型の質問を行い、聞いている私は何度かハッとさせられた。
今日の追悼演説を聞いていて、「ああこの人は、政権交代した2012年から10年間いつでも総理大臣に戻れるように爪を磨いてきたんだなぁ」と感じた。
そしてその研ぎ澄まされた爪を立てるべき相手は常に安倍元首相だったのだろう。
その相手を突然失った悲しみと悔しさに溢れた演説だった、と思う。

この二人の本気の論戦を、もう一度見たかった、心底そう思った追悼演説だった。