昨年9月にデジタル庁が新設され、来年4月にはこども家庭庁が始まる。
大きな流れは、省庁間の縦割りになっている「デジタル」や「少子化・子育て」の課題を1箇所に集めることで抜本的な解決に向けた取り組みを加速することだろう。

ただ、日銀・金融庁という官僚組織と、マネーフォワードというスタートアップを経験した私としては、「ミッション」を柱に「アジャイル」で進めていくという組織やプロセスのあり方にも大きな期待を感じている。


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「ミッション」とは、「使命」や「任務」といった意味の英単語で、プロジェクトの「存在意義」や「提供したい価値」のこと。
「アジャイル」とは、「俊敏な」「すばやい」といった意味の英単語で、仕様変更などに対して柔軟に対応するためのソフトウェアの開発手法のこと。

物事の変化のスピードが速まり、先行きが見えない不確実性の高い時代の中で、プロジェクトを推進していくためには様々な局面で難しい意思決定が求められ、時にはすばやい方針変更が求められる。
そうした意思決定の場面で必要なことは、常に「何のためにこのプロジェクトをやっているのか」に立ち返ることと、「変化を恐れずにチャレンジすること」だと思う。
マネーフォワードでは、課題にぶち当たったら誰からともなく「ミッション」に立ち返ろうという提案があり、とことん議論して正しいと思われる方向性が見えてきたら、失敗を恐れずに早めに方針変更することを繰り返してきた。
それが結果的に、プロジェクトのスピードを高め、成功する確率を高めて来たように思う。

そして、「ミッション」や「アジャイル」を重視することは、組織のフラット化につながる。
そのプロセスにおいて、年齢や役職は無関係となる。
ミッションをより深く理解し、より勇気を持ってチャレンジすることこそがプロジェクトの推進力になる。
フラットでフランクなコミュニケーションによって、プロジェクトのスピードが上がる。
クラウドやチャットツール(slackやdiscordなど)の利用が、そうしたコミュニケーションをサポートしてくれる。

そうしたコミュニケーションや組織のあり方が、省庁間のしがらみや官僚的な意思決定という中央官庁の欠点を補い、真の「デジタル化」や「こども真ん中」の政策を進めていってくれると大いに期待している。